06/25リノベコラム#003理想の暮らしを考える 前篇

「新築でも良いかな。」
ONOYAに出会って以来、ずっと二番手だった考え方。マイホーム計画を進める際、不動産スタッフに呟いた。


「貴方に新築はない。中古物件を探すから。」
半ば強引だったが、自分の理想は新築では叶えられないと、実は自分でも分かっていたのだ。

リノベが良い。
自分で自分の家をこだわってつくるのが夢だったのだ。
キッチンも、壁紙も、扉の取手だって、細かいところまでじっくり選びたい。これから先、どういう暮らし方をしていくのだろうと思いを馳せる。

かくして我が家の家づくりは、理想の暮らしを考えるところから始まるのであった。


気付けば、ずっと「家に合わせた暮らし」をしてきた。いいな、と思った小物や家具も、家に合わないから買わない。

本当は欲しかった新しい家電。家に合わないからずっと古いまま。服も靴も、思えば全部そう。どうせ収納する場所もないからと諦めて、いつからか興味も薄くなっていった。せっかくマイホームを持つのなら、「暮らしに合わせた家」をつくろう。そう思うと、やりたい事がたくさん溢れてくる。これからの暮らしを本気で考えてみる。


例えば、リビングでの生活はどうだろう。別に狭くて構わない。うん、むしろ狭い方が落ち着きそう。走り回ることもないし。

普段はソファに座るけど、床でゴロゴロする方が多いだろう。

冬にはコタツを置いて、テレビを見ながら鍋を食べる。

きっとお酒も呑んで、そのまま寝てしまうだろう。

あー、座椅子も買っちゃうかもなぁ。うん、でも自分らしい。

リビングは 畳あれば十分。
ソファは使い方を変えられるように、オットマンをつけよう。

床でゴロゴロしたいから、フローリングは肌触りの良いものにしよう。よし、どうせなら窓を大きくして日向ぼっこスペースも。
昼はお日さま、夜はコタツで完璧な布陣だ。

ああ、窓の周りにはコンセントが欲しいな。

日向ぼっこスペースで充電しながら、ゴロゴロとスマホを見るかもしれない。

窓の向こうは庭があるから、小さな畑でも始めてみようかな。
夏になったら窓から外に出て、野菜を採って料理してもらうんだ。

自分でやれって言われそうだけど…。

料理、練習しようかな。そうなると庭用のハサミとか、収納する場所が欲しくなるな。収納はたくさんつくっておこう。

よしよし、理想のリビングはこんな感じだな。

雑誌やネットで見るような「憧れの広々おしゃれLDK」とはかけ離れたけど、自分のしたい暮らしはこうなのだ。

そうやって、自分の理想の家を、理想の暮らしをつくっていく。


家族の理想の暮らしにも触れた。
家の西側にはウッドデッキを設けたいとのこと。

日当たり良好な南側の庭ではなく、玄関の真裏にウッドデッキをつくると言うのだ。
そしてウッドデッキから家に入ると、室内干し部屋と洗面室にアクセスできる間取りになった。

我が家の西側は日当たりが良いわけではないが、考えてみれば風通りが良い。そして、道路沿いから見えない唯一の場所なのだ。

曰く「歩いている人にもお客さんにも、誰にも洗濯物が見えない。

暗くなったら取り込んで、室内干し部屋に掛けとけば良い。雨が降っても一緒。洗面室にそのまま行ければ、尚更ラクでしょ」と。

ストンと腹に落ちた。今までの自分には考えもしなかった暮らし。でも確実に、自分がそこにいる姿が想像できた。

今まで家事に目を瞑っていたズボラな自分が、洗濯物を干しているイメージが湧いてくる。家族の理想につられて、なんだか自分も変わりそうな気がしてくる。

どうやら、暮らしに合わせた家をつくっていると、自分の未来の姿もつくられていくようだ。
理想の暮らしと、そこにいる自分や家族を想像する。

いつだって「ありあわせ」で選んできた自分とは、なんだか違う気がする。

それはきっと、暮らしの中で「ちょっと良いもの」を選ぶような、発泡酒ではなくビールを買っちゃうような、そんな感覚。

これからの暮らしが、より豊かになるような気がしてならないのだ。
家づくりに本気で向き合ったら、理想の暮らしをつくっていることに気づいた。つづく。

【今回の著者】
大谷真史
入社9年目。
リフォームアドバイザーを8年ほど経て、現在はショールームやモデルルームの設計を担当。コンテスト全国1位受賞の実力。