06/25リノベコラム#004暮らしにあわせた家をつくる 後篇

「オハヨ。」
我が家にはインコが2羽いる。
アパート暮らしの頃から一緒にいた家族だ。

自分たちの部屋や生活を決めたように、小さい家族の生活も考える。

まずは居場所、鳥カゴはダイニングの出窓に置くことに決めた。

出窓は南側に面していて、庭があるから通行人の気配もない。

道路もないから車に怯えることもないし、高さがあるから野良猫に警戒することもないだろう。

明るく静かなこの一等地で、外を眺めたり、太陽の光をたくさん浴びて快適に過ごしてもらおう。

すぐ隣にはダイニングテーブルを置いて、一緒に朝ごはんを食べるのだ。

昼間はコーヒーを飲みながら、ぼーっと鳥たちを眺めているだろう。

窓から入る光や風が、きっと心地良いに違いない。


次の春がきたら、庭に大きな木を植えよう。

窓から切り取った景色も、手を加えたくなってくる。実のなる木にしたら、野鳥が遊びにやってくるかもしれない。

この地域に住んでいる鳥はなんだろう。
家の中だけでなく、外も、周りの環境も、どんどん興味が広がっていく。

間取りと一緒に、身の回りのインテリアも選んでいく。
ダイニングテーブルは食事以外に、きっと鳥たちの遊び場になるだろう。なんだかリビングよりも長く居る気がする。椅子はレザーか、ファブリック生地の方が疲れなさそうだ。
テーブルは滑りにくい木製のもので、メンテナンスできるものが良い。

きっと汚れるし傷つくだろう。定期的にワックスを塗って、愛着を持って使えるものにしよう。

そして最後に、室内の素材を選ぶ。躾された猫とは違い、鳥はトイレに縛られない。床は掃除がしやすいものが良い。
裸足でいるのが好きだから、なるべく肌触りの良いものにしたい。鳥もトテトテと床を歩くのが好きだから、滑りにくさも重要だ。
見た目だけでなく、自分たちの暮らしにあったものを考えていく。

材質が決まったら、いよいよ色を決める。好きな色を選ぶのではなく、好きな色を身に付けた自分たち。これに合う色を選んでいく。家が主役ではなく、そこに住まう自分たちこそが主役だからだ。
好きな色は小物で選ぶと良い。その時の気分に合わせて、簡単に模様替えができる。

家づくりは順番がとにかく大事。
家にあわせた暮らしではなく、暮らしにあわせた家をつくっていく。
理想の暮らしを考えて、自分たちの将来を想像してみる。
生活する動き、暮らしの中のインテリア、最後に見た目。これを守れば、きっと満足いく暮らしができる。

新しい暮らしは始まったばかりだけど、理想通りの毎日を送れている。
これからも変わっていく暮らしに合わせて、カスタマイズしながらアップデートしていこうと思う。

定年近くなったら、柴犬を飼う予定だ。またライフスタイルが変わるだろう。
数十年後、またリノベをする日が今から待ち遠しい。

【今回の著者】
大谷真史
入社9年目。
リフォームアドバイザーを8年ほど経て、現在はショールームやモデルルームの設計を担当。コンテスト全国1位受賞の実力。